働くということは、生きていく上でとても大切なことだ。
わたしは時間に拘束されるのがいやで、50代でリタイアした。その準備のために、貯金することに意を注いだ。そんなに貯められなかったけれども、3人の子どもも独立していたし、家のローンも終わっていたから、何とか貯金できた。
退職後は、野菜作りをしはじめた。子どもに送ったり、近所の人にあげたりするだけの農業である。農業も働くという範疇になる。自然相手であるから、思い通りにならないことが多い。雨が降らない、猛暑が続く、昨年通りに栽培しても出来が悪い・・・・いろいろなことが起きる。その度にどうしたらよいかを考える。働くということは、自分自身を成長させる。
もうひとつ、ボランティアに近く、いつも赤字であるが、歴史講座を引き受けている。今まで購入してきた大量の本を読むために、テーマを決め勉強する。本を読めば新たな知識を得ると共に、さらに問題意識がわき、学習意欲が増す。
どんな年齢になっても、働くということは必要だ。それは自分自身を成長させる。在職中でも、いろいろなことを試み、自分自身を成長させてきたと思う。
それも、基本的な所得があったからである。
『世界』10月号が、「働き続ける私たち」という特集を組んでいる。日本が「売られている」状況、日本を訪れる外国人が「安い!」といわれる状況、これは自由民主党が官僚、そして経団連などの経済界とタッグを組んで、日本の労働者を低賃金で酷使しようという意図のもとに、制度改悪をおこなってきた結果である。輸出企業が、グローバリズムのなかで、日本の労働者を大切にすることを放棄してきたからでもある。
その結果、労働力が大幅に不足する事態となった。しかし、自由民主党と官僚、財界は、その不足をより低賃金で働く外国人を入れることにした。外国人実習制度である。しかし、その外国人からも、低賃金が続くことから、日本が見捨てられつつある。
自由民主党、官僚、財界の罪はきわめて重い。
しかし、そのなかで、労働者の働き方を大きく変えた企業が、紹介されている。家具販売のイケア、広島電鉄。この二つの企業には非正規労働者はいない。皆正社員である。違いは、短時間で働く人、通常通りに働く人、つまり労働時間に差があるだけで、基本的な給与は変わらない。
その結果、これらの企業では、離職者は減り、人手不足は解消し、他方労働者には働きがいが生まれている。労働生産性もあがっているはずだ。
日本の労働生産性が低いのは、雇用する側が、労働者を低賃金で酷使してきたからだ。
雇用する側は、イケアや広島電鉄の経験を共有すべきである。労働組合も、学ぶべきである。
若者たちにとって、日本で生き、働くことが、苦痛ではなく、喜びとなるような社会をつくり出さなければならない。雇用する側にとっても、それはプラスに働くはずだ。
日本は、改革されなければならない。そのためには、自由民主党という利権政党を、政権から永遠に追放しなければならない。かれらは、裏金に見られるように、自分たちの利権のことしか眼中にない連中である。