『東京新聞』、毎週日曜日の最後の紙面には、必ず田中優子さんによる表題のコラムがある。これがなかなか読ませるのである。
学生時代、もう50年ほど前になるが、わたしも東京に住んでいた。しかしあまり「観光」はしていないので、東京の名所旧跡はほとんど知らない。
9月28日付の紙面は、「湯島」である。確か御茶ノ水駅から湯島聖堂の脇を通った記憶があるが、何のためにそこを通ったのかは覚えがない。神田明神には行ったことはあるが、湯島天神には行ったことはない。
田中さんは、湯島聖堂と湯島天神を訪問している。
「江戸時代は300年近くにわたって戦争がなかった。その大きな要因は「武士が学問をしたからだ」「戦争より学問の方がずっと面白いことがわかったのです。」
徳川幕府は、内外の戦争をとめた。国内は言うまでもなく、アジア周辺で海賊行為を行っていたオランダを平和的な外交の枠組みに押し込めた。徳川幕府は、戦争のない時代をつくった。その平和の中で、浮世絵などの美術、文学、学問、芸術など文化的なものが発達した。
田中さんは、「知識があっても感性や思考がなければ何にもならない。どんなに多感でも知識がなければ危ない。」と書く。
今や、豊かな感性や思考の源である「知」がひどく軽視されている。それが、今の時代を悪くしている。とりわけ政治家には、「知」のない者が多い。悲しい現実がある。
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