アメリカへの隷属をずっと続けている日本。それを、戦後推進してきた自由民主党。日本が損をしても、アメリカに媚びを売り続ける人びとがいて、彼らが日本の政治権力を握っています。彼らはよく「国益」ということばを口にしますが、彼らは日本国(民)のことよりも、アメリカのご機嫌を伺い、そのことによって得られる「私益」を拡充することのために動いています。もちろん、そのようなことは公になっては困りますから、秘密裏にアメリカと交渉し、表に出ないようにしています。
日本国は、そうした秘密を何十年経過してもオモテに出しませんから、アメリカの情報を探るしかありません。アメリカにとっての日本国は、命令通りに動く忠犬のようなものですから、過去の秘密がバレてもどうってことはありません。
したがって、日米関係を正確に認識するためには、アメリカに行って過去の秘密文書をさがし出すことが必要となります。著者の春名幹男さんはそのようにして、いろいろな情報を獲得してきました。この著者がかつて著した『秘密のファイル CIAの対日工作』(共同通信社、新潮文庫)もわたしは読みましたが、日米戦争が終わり、アメリカは日本を自由自在に操るべくCIAのエージェントを送り込み、様々な工作をしました。
さて本書ですが、日米の歴史を、ペリー来航期から書いています。そこにはジョン万次郎も登場しますが、わたしの関心は戦後ですから、戦後に起きたことのみを簡単に紹介します。
紹介しなければならないのは、やはり現在の高市政権の政治をつくりだした安倍晋三、その安倍がもっとも影響を受けた祖父・岸信介について書かざるを得ません。第14章には「岸信介から始まる「親米」の系譜」です。書名は忘れましたが、岸がCIAのコードネームを持っていた、戦犯として巣鴨プリズンにいた岸が釈放されたのは、CIAとの関係ができたからだということでした。
GHQ内部にG2という組織がありました。徹底した反共主義者のウィロビーを中心に、日本国内で諜報活動をしていました。岸はそのG2とつながり、アメリカの戦略に沿った活動をしていました。岸が首相となって東南アジア歴訪をしましたが、それもアメリカの戦略でした。また日本の1958年の選挙時に、アメリカは億単位の秘密資金を岸に渡したそうです。また騎士の弟・佐藤栄作にも、1959年の参議院議員選挙の際にも渡したとのことです。
さらに、1960年にはCIAの工作により、日本社会党から民主社会党が分離しましたが、その背後にCIAが資金を提供していたとのこと。民主社会党は、現在の国民民主党の源流の政党です。
日本の歴代の首相で、アメリカの言いなりにならず、独自の政治を進めたのは田中角栄でした。ロッキード事件で、超法規的にアメリカの資料が裁判で証拠資料となり、田中は有罪になりましたが、その背後にアメリカがありました。
もうひとつ、いま、台湾の半導体が世界で大きなシェアを抱えていますが、かつて日本の半導体が繁栄を極めていた時期がありました。1985年の企業別半導体売り上げ順位は、第一位NEC、第二位日立製作所、第三位東芝という状況でした。国別では日本が46%のシェアでした。アメリカの半導体メーカーはそれを潰そうと、レーガン政権を通して日本に圧力をかけ、日本の競争力を失わせることをしました。日本政府は、アメリカの圧力を受け入れたのです。
本書には、そうした事例をたくさんあげて、アメリカの圧力に唯々諾々と従った自由民主党政府の対応が記されています。
戦後日本の日米関係を、アメリカの「謀略」を通して見つめることも、現在の日本にとっては必要なことでしょう。日本国の自立性を少しでも高め、対米隷属から脱していかないと、日本は今後もアメリカの餌食になり続けるからです。
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