昨日、著者である田中さんからご恵贈いただいた本である。3月27日刊行とあるから、もうじき店頭に並ぶことであろう。
昨日届いたばかりであるから、もちろん読み終えていない。したがって、ここでは途中経過の段階で記すものである。
わたしは、この大杉栄や伊藤野枝、橘宗一に対する、甘粕ら陸軍憲兵隊による惨殺事件についてはよく知っている者だろうと自分でも思っているが、しかし、橘宗一少年、その母あやめらの動向を詳しく知っているわけではない。この本を読みながら、まず思ったことは、この事件はあまりに悲しい事態であると言うことを再度痛感したことである。大杉や野枝の惨殺もむごたらしいものであるが、いたいけな宗一少年の命が奪われたことの重さ、悲しみを、この本を読みながら感じるのだった。
そしてもうひとつ、彼らを、無法に虐殺した甘粕正彦ら陸軍憲兵隊は、まさに鬼畜というべき所業であること、さらに軍事裁判で彼らの罪が問われることなく終わったこと、そして何と彼ら犯罪者に対して、減刑嘆願運動が行われたという事実。これらは、近代天皇制国家の本質を象徴する。その本質は、陸軍という軍事組織、それに付属する憲兵隊、さらに減刑嘆願運動を行った庶民に表現されている。
最近行われた選挙のなかであらわれた、日本の庶民が、統一教会や裏金問題など政権政党の闇をなんら問題にせずに投票行動を行ったその正義に悖る反倫理的な行為に、甘粕らの減刑嘆願運動を重ねてみる。近代日本から今日まで、日本の庶民には、正義や倫理はないのではないか、と思うほどである。
まだ読み終えていないが、読み進む中で、今迄大杉や野枝の本をいろいろ読んでは来たが、あらたな事実、新たな感慨が生じてくるのであった。そしてその感慨は、現代の日本の現状からわきあがることでもあった。
田中さんは、巻頭に、韓国のノーベル賞作家、ハンガンの「歴史的事件を扱うことは、過去について語る方法を探し出し、現在について語るということです。歴史を見つめて問うことは、人間の本性について問うことでもある」を引いている。それは、本書で具現している。
多くの方に読んでもらいたい。この本、悪税抜きで2000円である。すべて読み終えたら、また書くであろう。
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