2025年6月11日水曜日

給特法の問題点

  『世界』7月号には、「憲法問題としての教員の働き方改革」(高橋哲)という文が掲載されている。

  給特法改正案はただ単に、残業代の代わりに教職調整額を増やすというだけではなく、教員にさらに階梯をつくるという、教員分断策を伴っていることが指摘されている。長い間、教員の階梯は、校長、教頭だけが管理職で、主任は互選などで選ばれていて、手当は当初はなかった。在職中、途中で主任には主任手当として月5千円が支給されるようになった(クラス主任にはない)。その後、校長と教頭の間に副校長という管理職が設けられた。

 わたしが退職してから、「主幹教諭」という職が設定された。この職の手当がどうなっているかはわからないが、さらに給特法では「主務教諭」という職を設け、そして給与表に「級」を設定し、教員給与をさらに差別的な体系にしようとしているようだ。

 教員は、集団として教育実践をしているのであって、このように差別的な給与体系を導入・強化することは、教員集団を分断することにつながり、百害あって一利なしというしかない。 

 文科省がおこなう施策が打ちだされればされるほど、学校教育は破壊されてきたという気がしている。もちろん、教員の給与を上げ、残業手当をきちんと支給することには全面的に賛成であるが、給特法は残業手当の代わりに「教職調整額」を増額することによって教員の「ただ働き」を放置しようとしている。政府、文科省は、教員の自発的行為としての「在校等時間」という法に基づかない語を使用して、「ただ働き」をさせつづけようとしているのである。

 部活動や生徒会の指導、補習など、勤務時間を超えて教員は働いているのであるが、それらは「自発的行為」だから残業手当は支給しない、というのである。しかし、それらは、まさに教員の業務として行われていることであって、支給がないこと自体不法である。

 今回の給特法改正案は、不法である。その不法に賛成した政党に投票することはいっさいしないだろう。反対したのは、れいわ新選組、日本共産党である。 

 自民党・公明党政権は、日本学術会議法案はじめおかしな法案はせっせと成立させるのに、再審法改正や選択的夫婦別姓については、頰被りをして内もしようとしない。自民党、公明党、そして維新、国民民主党は、これも百害有って一利もない政党である。そういう政党に権力を握らせている日本国民も、おかしい。

 

  

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