上丸洋一氏の『南京事件と新聞報道』(朝日新聞社)を読んでいる。6月に上丸氏を招請して講演会をやる、zoomでも参加できるからぜひ参加して欲しいという連絡があった。そこでこの本を購入して読みはじめた。
上丸氏はもと朝日新聞記者で、退職してから全国紙のみならず、地方紙を読み込んでこの本を書いた。
わたしも南京事件について軍事郵便をもとに書いたことがあるので、らくに読み進めることができている。読みながら思ったことは、戦時下、日本軍は中国の民衆に、途轍もなくひどい仕打ちをしたことは、一部にこれを否定するアホがいるが、歴史的事実であり、だれもが否定できないことである。本書にも新聞記事などをつかってそれが多数記されている。にもかかわらず、沖縄県内各地に、中国との戦争を想定して自衛隊基地をせっせと築いている日本の支配層の、歴史に学ばない姿勢にあきれてしまう。
支配層は、戦争で多くの庶民が殺され、塗炭の苦しみに遭うことなぞ、まったく気にしていない。そもそも、軍隊は(自衛隊も軍隊である)、国家権力とその担い手達、つまり支配層を守るために存在しているのであって、国民を守るという立派な代物ではない。過去の戦争を振り返れば、それはすぐにはっきりするはずだ。
ずっと前に、歴史の解説書に、以下の資料をつかった書いたことがあるが、その資料を紹介しよう。
1941年12月10日の岩崎小弥太の訓話である。戦争遂行に「産業報国」の使命のもとに戦争遂行に邁進することを訴えたのであるが、その際にこういうことを言っている。
英米の旧友に対する心得是なり。在来我が三菱と事業に於て相提携せるものに幾多の英米人あり。彼等は今日に至る迄我らの友人として同一の事業に提携し、同一の利害に終始来たれるものなり。今や不幸にして干戈相見ゆるの両国籍に分属す。国家が彼等の事業並に資産に対して合法的の措置ある可きは当然なれども、旧誼は之に由りて減ず可きに非ず。・・・・他日平和克復の日来らば彼等は過去に於て忠実なる好伴侶たりしが如く、将来に於てまた忠実なる盟友たる可く、斯くて両者相提携して再び世界の平和人類の福祉に裨補するの機至る可きなり・・・・(『三菱社誌』)
国民に対しては「鬼畜米英」を押しつけ、戦争で巨額の利益を産みだしていた三菱は、戦争が終わったらまた「英米の旧友」と儲けに励もうと言っているのである。
軍事費がばく大になっている。それによって三菱などが儲けていることを先日指摘したが、またもや三菱などは、対中国の軍備増強に商機をみているのだ。まさに「死の商人」。
1945年に終わった戦争で、三菱などの財閥が、国民の悲劇のなかで、どれほど儲けることができたのか、もう一度振り返って欲しい。たとえば、三菱重工業は、1935年の利益金が700万5000円であったが、1944年には8642万6000円となっている。戦争は、巨大企業委巨額の利益をもたらす。政府も、軍需企業には減税策をとり、国民の生活を犠牲にした政策を展開していた。まさに現在の自民党・公明党政権の政策である。
歴史を振り返り、1930年代から40年代前半の歴史を繰り返させてはならない。
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