昨日、『地平』9月号が届いた。そのなかで、すぐ読んだのが、関西生コンの事件である。生コンミキサー車の運転手で組織されている「全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部」に対して、経営者のみならず警察・検察が大々的に弾圧してきたことである。この組合を潰したいというどす黒い野望を持った支配権力が、襲いかかってきたのである。
もちろん日本には労働基本権が憲法で保障されていて、さらに労働組合法が制定されている。しかし、残念ながら日本の労働組合のほとんどは「御用組合」であり、組合の人事は会社の総務課が担当し、組合の幹部になると「出世」するという構造が続いている。他方、労働組合として、使用者と対等に交渉し、労働者の権利を守ろうとしている労働組合は、組織率が下がり、いずれも少数による組合となっている。
関西生コン支部は、労働者の生活と権利を守る組合である。労働者の生活を守るということは雇用者の経営も維持しなければならない。そこで支部は、組合主導の中小の経営者(企業)の協同組合をつくり。不当な廉売をしないで適正な価格で販売し、生コンの品質を維持しようとしてきた。
巨大ゼネコンなど大企業にとって、それは何とかしなければならないことであったようだ。巨大企業は、みずからの収益を上げるために、下請には適正な料金を払わずに「中抜き」することを平気で行う。そのためには、関西生コン支部は、破壊しなければならない組合となったのである。
この「関西生コン弾圧事件の本質」(永島靖久)には、「労働運動を抑え込み、労働者を保護する制度を解体し、労働者をバラバラにして際限のない底辺への競争に追いやろうとする」と書かれている。そのために、巨大資本は、警察、検察の力をつかって、関西生コン支部を解体させようとしてのである。
現在の日本の状況を見ていると、政治権力が巨大資本と手を組み、より多くの利益を得ようと、それを阻害する制度、社会組織、勢力を根こそぎなくそうとしている。日本学術会議、大学などもそのターゲットになっている。そのやり方は、きわめて強権的である。
そして気候変動。この夏の暑さは、半端ではない。『地平』には、「気候危機の時代に、いま何をなすべきか」(深草亜悠美)が掲載されている。気候変動の進行を抑えるために、何度も国際会議が開かれ、いくつかの取り決めがなされてきた。しかしその実効性は高くはない。「1700年代から現在までの累積排出量の四分の一は米国たった一国から排出されたものである。世界一の経済大国であるアメリカの行動が、気候危機解決の鍵を握っている」のであるが、そのアメリカが京都議定書を批准せず、パリ協定から離脱している。さらに、これは日本も含めてであるが、国際会議には「化石燃料ロビイスト」たちを大勢参加させ、共通の目標などをつくらせないよう、あるいは引き下げさせるといった行動をとっている。
ここ数年の猛暑というか酷暑は何を示しているか。地球温暖化の進み具合はもう何らかの対応をしていかないと、地球全体が生物が住めない惑星になってしまう、ということではないか。
気候変動への対策を邪魔しているのが、巨大企業であり、その最大の擁護者である国家である。
新自由主義にまみれた資本主義は、一部のカネ儲けのために、働く人びとをどん底に落とし込み、地球を破壊しようとしている。資本主義の行く末は、地獄である。資本主義は、今や地獄への道案内となっている。
0 件のコメント:
コメントを投稿