今日の『中日新聞』の第一面に、「細る予算 共助頼みに」という記事があった。浜松市が周辺の11市町村を併合して現在の浜松市ができたのが20年前。いわゆる「平成の大合併」で誕生した、全国二位の面積を持つ浜松市。
静岡県の中部以西は、この「平成の大合併」で多くの市町村がなくなった。天竜川以西では、現在浜松市と湖西市しかない。ほかの市町村は消されたのである。県西部の市町村は、自治省の政策にまんまと乗せられたのである。静岡県でも、東部、伊豆地方では自治体の数は多い。
あの頃、政府は小さな自治体住民に大きな不安をもつように仕向けた。大きな自治体と合併しないと、町の財政は苦しくなり、とりわけ福祉に大きなしわ寄せがくる・・・・・不安になったのは町の老人たちだ。大きな自治体と合併しなければ・・・などと動き始めた。
川根本町は、中川根町と本川根町とが合併した町である。この地域でも、近在の島田市との合併を模索していた。しかし町長や当局者と話す機会があったわたしたちは、それはやめるべきだ、大きな市と合併すれば、人口は減り、さらに町は衰退していくということをしきりに説明した。それには事例があった。静岡市にずっと前、1969年に合併された井川村、あっという間に人口は減っていき、インフラ整備もままならなくなった。
結局、両川根町は島田市との合併はしなかった。
過疎地域においては、自治体が独立していることはきわめて大事である。町村役場はそれだけで地域住民の就職先であり、企業も当該自治体の仕事を受けるためには、支店や営業所を当該自治体内にもっていなければならない。自治体がなくなるそのこと自体が、人口減につながるのである。
また地域住民が当該自治体を盛り返そうとしたとき、大きな自治体ではそれがなかなか難しい。大きな自治体では、住民自治が動かなくなるのだ。
この記事には、
「旧水窪町役場には林道担当者が複数いたというが、現在は区役所庁舎内にある天竜森林事務所が管轄し、水窪には兼務の担当者一人がいるのみだ」、元自治会長が何かを頼んでも「予算がないと言われるし職員が足りていない」といわれてしまう、ということが書かれている。
そうだろうと思う。「平成の大合併」は、弱小自治体、過疎地の切りすてでもあったからだ。
こうした事態は、予想の範囲内なのである。
あの頃、合併熱が急に高まり、市町村がなくなっていった。国家がそうした熱をつくりだし、煽ったからだ。しかし、その結果、合併された旧市町村の住民たちは、今、後悔しきりである。
わたしはそのころ、そうした地域をまわっていろいろ話した。だからこう云いたい、「言ったとおりでしょ」と。
だから国家(政府)を信じるな、なのである。
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